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心にしみる名言、知恵と勇気がわいてくる名文を、千年の名著から毎回お届けします。

名言名句 第六十五回 老子 知る者は言わず、言う者は知らず。

 No.81
知る者は言わず、言う者は知らず。~老子『道徳経』第五十六章


これも他の名言と同様、反語・逆説的な至言のひとつです。
智が深くなればなるほど、真理に近づけば近づくほど、人は余計な言葉を発しなくなるという教えです。
逆に智のレベルが浅い人ほど、知ったばかりのこと、少し聞きかじったことをしゃべりたくて仕方ないもの。

道に達した人は外見上暗愚とひとしく見える、という例は、たとえば
中島敦『名人伝』
の弓の達人、紀昌の生きざまによく表れています。


「知る者は言わず」の句は、日本でも中国でも、多くの作品、文献に引用される有名なもの。その引用例は数限りないのですが、今回は明治の文豪、夏目漱石のエッセイに引用されたものを紹介したいと思います。

「言ふ者は知らず、知るものは言はず、余慶な不慥の事を喋々する程、見苦しき事なし、況んや毒舌をや、何事も控へ目にせよ、奥床しくせよ、無暗に遠慮せよとにはあらず、一言も時としては千金の価値あり、万巻の書もくだらぬ事ばかりならば糞紙に等し。」
(『愚見数則』夏目漱石~「漱石全集 第12巻」岩波書店 昭和42年)

言う者は知らず―。幾百もの駄弁を止めて、千金の一言を述べよ、と漱石は諭します。
明治28年、愛媛の尋常中学校に教諭として就任した漱石が、学問を志す生徒たちに指針を、と理事に命ぜられ、同校発行の雑誌に寄稿したのが、『愚見数則』と題する一文。
青年教師が、夢多き少年たちに、自らの信条・思想・学問への熱き思いを箇条書きで、時に真摯に、時にユーモラスにつづったエッセイです。

原文は名文とはいえ、125年前の日本語です。言の葉庵では今回、古語読解の労を省き、漱石の思いにぴったりと寄り添っていただきたいと思い、全文現代語訳にてご案内しました。

本文の冒頭数行が序文。その後が本文で、20箇条にわたってひとつひとつの説諭が展開されます。最後、数行の跋文によりしめくくられています。
20箇条の本文中、冒頭の漢数字(一.~二十.)は、読みやすさを考慮し訳者が附しました。

――――――――――――――――――――――――


現代語訳『愚見数則』 夏目漱石

(水野聡 訳 2019.12 能文社)


 理事が来て、何か書けとおっしゃる。ぼくはこの頃頭の中がからっぽで、君たちに示すようなことがない。しかしぜひに、ということなら仕方ない。何か書こう。
 ただしお世辞は嫌いだ。ところどころ君たちの気に入らぬところもあろう。そしてまた、思いついたことをそのまま書き連ねたようなところもあり、箇条書きのようでちっとも面白くないかもしれぬ。ただし、文章は飴細工のようなもの。のばせば、いくらでものばせられるのである。そのかわり、正味は減るものと思いたまえ。

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あなたもスラスラ古文が読める。読解ポイントの裏技・表技を庵主がこっそり伝授します。

第十回 『戴恩記』話者を敬語の程度で見つけ出す。

今回は、「第二回 主語を探す」の上級編をお届けします。読解のテーマは「話者は誰か。敬語の程度で見つけ出す」。
テキストは、貞門俳諧の祖、松永貞徳の『戴恩記』を取り上げました。

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現代語訳 どちりな きりしたん

Doctrinacover.jpg現代語訳 どちりな きりしたん
水野聡 訳
本体価格:2,980円 +税

判型:四六版 164ページ
発売日:2017年10月10日
出版社:能文社
ISBN ISBN978-4-9904058-7-8

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 本書は、『長崎版 どちりな きりしたん』(岩波文庫)を底本とする、全文現代語訳です。


◆現代語訳 どちりな きりしたん 目次

〔まえがき〕
どちりな きりしたんとは
四種のどちりな きりしたん
各章の概要
日本のキリシタン史略年譜

〔どちりな きりしたん本文〕

第一 キリシタンとは何か
第二 キリシタンのしるしとなる、聖なる十字架
第三 主祷文の祈り
第四 アヴェ・マリア(天使祝詞)
   聖処女マリアの祈りとして、百五十回の祈り
   喜びの観念 五箇条
   悲しみの観念 五箇条
   栄光の観念 五箇条
   冠の祈り
第五 サルヴェ・レジナ(聖母への祈り)
第六 使徒信経、ならびに信仰箇条
第七 神の掟、十戒
    掟の戒律
第八 聖教会の掟
第九 七つの大罪の科
第十 聖教会の七つの秘跡
第十一 その他、キリシタンにとって大切なこと
慈悲の行い
    神に対する徳にあたる、三つの善
    根本の徳となる、四つの善
    七つの聖霊の賜物
    祝福
    告解の祈り

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◆庵主のくたびれ日記

AI 対 人間。古典は自動翻訳できるのか。

1000年前の日本語を、あたかも現代文のようにスラスラ読めたら…。
言の葉庵読者の皆様の中には、そのように感じている方もいらっしゃるかもしれません。

期待されている、AI翻訳。

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