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名言名句 第三十四回 貞観政要 六正六邪。

 No.51
六正六邪。
~魏徴『貞観政要』巻第三 論擇官第七

〔解説〕

「六正六邪」は、『貞観政要』中、諫臣魏徴の上疏文にあることば。しかし魏徴のオリジナルではなく、前漢末の『説苑(ぜいえん)』から政策提言のため引用された句と文です。

この句がある『貞観政要』巻第三の「論擇官第七」は、新国家樹立に向け人材登用と任官について君臣、忌憚なく論を戦わせた段落。
貞観十四年、太宗の治世下では、強敵高昌国を討伐し、内外共に磐石の体制が築かれました。わが国では“人は城”と呼ばれるように、国家運営の要が人材登用・活用にあることは、古今東西を問わない永遠のテーマです。国づくりは、すなわち人づくり。外憂のなくなった唐朝廷と天子に対し、人材登用促進と、現家臣団の綱紀粛正のため、まさに時宜を得た献策が魏徴によりなされました。

「六正六邪」、すなわち「六人の正しい臣」と「六人の邪悪な臣」。この基準に従って、正しい人材登用と任官を行なえば、君主は安らかとなり、人民は治められる、と魏徴は説きます。
聖臣・良臣・忠臣・智臣・貞臣・直臣。これら六人の正しい臣が「六正」。たとえば、「直臣」について、本文では以下のように規定しています。

 国家が傾き乱れる時、上に諂(へつら)わず、あえて主の厳しい顔も犯し、面と向かって主の過失を指摘する。こうした者を直臣という。

かたや、具臣・諛臣・姦臣・讒臣・賊臣・亡国の臣。これら六人の邪悪な臣を「六邪」とする。姦臣とは以下のような輩です。

内面は陰険邪悪であるのに、外見は謹厳実直。弁舌巧みで人当たり温和、善人賢人を妬み憎む。われが推挙する人物の美点を目立たせ、欠点をおおい隠す。退けようとする人物の過ちを暴きたて、長所を隠す。主の賞罰は当たらぬよう、命令は行われぬように取り計らう。こうした者を姦臣という。

『説苑』が紀元0年頃、『貞観政要』が紀元700年頃に、それぞれ成立しました。今より1300年から、2000年も前のこと。宇宙開発が現実となり、インターネットが瞬時に全世界を結ぶ現代。人類の科学文明はなんと進化し、人の心はなんと変わらないものでしょうか。今、ぼくたちが属する会社や地域社会にも、六正六邪の「直臣」や「姦臣」にぴったりあてはまる人たちが数え切れないほどにいる。この段落を読んだあと、あなたは今机をならべて一緒に働く同僚や上司、ご近所の人々に「六正六邪」を見つけ、驚くかも知れません。

そしてこれこそ、『貞観政要』が世界の歴代皇帝や為政者たちに読み継がれてきた最大の理由なのです。論語や四書五経は、古の賢人・聖人の教えを伝える儒教の聖典。礼や仁、徳についてこれらの古典は普遍的な真理を垣間見せてくれるかもしれません。しかし、現代の実社会でこれらを実行、実践するにはあまりに抽象的です。『貞観政要』は儒教の聖典や前代の古典を引きながらも、現実に日々発生する政治課題の一つ一つに、明確な指針と具体的な方策を、まるで手のひらを指すように示してくれるのです。この書を手元に置き愛読した中国歴代皇帝はみな、善政をしき後世名君と呼ばれました。日本では、徳川家康がことのほか注目し、早くも関が原の合戦前に、わが国で初めて出版させたと言われています。そして徳川の世は三百年の長き命数を保つ。『貞観政要』に触れた記録のない天下人、信長、秀吉は一代で滅びました。

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第九回 謡曲『羽衣』クセを完全読解する。

現代人にとって能に距離を感じさせている要因の一つに“言葉”の問題があるかもしれません。
今回の読解教室は、能の歌詞である〔謡曲〕読解にチャレンジしたいと思います。
一般に能の一曲のハイライトは〔クセ(曲)〕にあるといわれている。演劇としての見どころ、音楽としての聞きどころは、クセと呼ばれる部分にギュッと濃縮されているのです。
いわゆる〔クリ・サシ・クセ〕と総称される少々長めの段落は、舞の段落とともに、初心者にとって睡魔と戦わなければならない、鑑賞の難所(?)。ここがわかれば、能は80%理解できる、といいます。
さて今回は、能の三番目物の代表曲『羽衣』をとりあげました。ストーリーがシンプルで、曲が短めのため、はじめて能を観る入門曲としてたびたび演ぜられる曲。しかし、たとえば耳だけで聞いて『羽衣』のクセを完璧に理解できる人はどれほどいるのでしょうか。耳には心地よく、しかしながら意味不明の“イメージ語”が美しく連なる羽衣の歌詞。その言葉に込められた古代伝説を知ることで、『羽衣』の豊穣な物語世界はようやく私たちに扉を開き、千年の時を越えた桃源郷を垣間見せてくれるのです。
まず〔原文〕、そして〔語釈〕〔訳文〕の順に読解を進めていきましょう。

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千利休の名言

rikyumeigencover.jpgものの見方が変わる。千利休の名言
水野聡 著
●形式:オンデマンド・ブック版
本体価格:2,200円(税込価格2,310円)

判型:A5版 全114ページ
発売日:2011年7月15日
出版社:能文社
ISBN978-4-9904058-4-7

【言の葉庵】書籍画像一覧

 本著は、千利休の名言集に、「利休の目がみつめたもの」、「千利休由緒書 現代語訳」の付篇二篇をあわせた、利休茶の美学入門書です。


‐目次‐

まえがき                      
千利休の名言                    
  家は洩らぬほど、食事は飢えぬほどにてたる事なり 
  かなうはよし、かないたがるは悪しし       
  夏は涼しきように、冬は暖かなるように      
  一期一会                    
  侘びの小座敷は、すべて足りぬことがよい     
  茶禅一味                    
  無芸であること、一芸となる           
  心の師とはなれ、心を師とせざれ         
  和漢のさかいをまぎらかす            
利休の目がみつめたもの。―目利きと侘びとは     
『千利休由緒書』 現代語訳

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